節税ポイントは「生計を一にする親族」
個人事業主が親族に給与を支払う場合の原則
多くの方が、個人事業主として毎年3月15日に確定申告を行っていらっしゃることと思い
ます。
しかし、個人事業主が、「生計を一にする親族」に給与を支払ったとしても、その
給与を個人事業主の経費とすることはできません。
※「生計を一にする親族」とは、税務上の用語です。
たとえば、単身赴任の会社員が家族に生活費を送金している場合や、
一人暮らしの学生が親から生活資金の仕送りを受けている場合は、
日常生活を送るための財布が同じなので「生計を一にする親族」となります。
そこで、考えたいのが「青色事業専従者給与」です。
青色事業専従者給与とは
一方、個人事業主でも青色申告者の方は、
「生計を一にする親族」に給与を支払った場合でも経費にすることが可能です。
この青色申告者が親族に支払う給与のことを「青色事業専従者給与」と言います。
この青色事業専従者給与は青色申告者にのみ認められた制度です。
しかし一方で、青色申告者が無条件で親族に青色事業専従者給与を支給することができるかというと、そうではありません。
青色事業専従者給与の支給を開始する際に、
税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」という書類を提出しなければいけません。
青色事業専従者給与を支給することのメリット
では、青色申告者が親族に青色事業専従者給与を支給することによるメリットは何な
のでしょうか。
それは、青色申告者自身の所得が分散されることによる税金や国民健康保険料の減額効果です。
日本の所得税は、所得が高い人ほど税率が高くなる累進税率を採用しているため、
所得を一人に集中するよりも多数の人に分散させた方が税率が低くなります。
その一方で、青色事業専従者給与を支給される側である親族に
税金や保険料がかかってしまう可能性がありますが、
年間98万円までの青色事業専従者給与には税金や保険料がかかりません。
(ただし、青色事業専従者給与を支給される親族は、扶養控除から外れてしまいます)
例として、所得金額500万円の青色申告者が、
その全額を自分の所得として申告した場合と、
奥さんに月額8万円(年間96万円)の青色事業専従者給与を支払った場合、
さらに、奥さんとお子さんにそれぞれ月額8万円(2人で年間192万円)の青色事業専従者給与を支払った場合の、税金と国民健康保険料を比較してみましょう。
※数字は概算です
※国民健康保険料は、平成27年度の新宿区の保険料率を参考にしています。
このように、個人事業主一人に所得を集中させるよりも、
親族に青色事業専従者給与を支給したほうが、税金や保険料が低くなります。
この傾向は個人事業主の所得が多ければ多いほど顕著になります。
青色事業専従者になれる人
「生計を一にする親族」で、以下の要件の両方を満たす人は青色事業専従者になることができます。
①その年の12月31日時点で年齢が15歳以上
②その年の営業期間の半分以上の期間、青色申告者の事業に従事していること。
上記の要件を満たしていれば青色事業専従者給与を支給することは可能ですが、
支給金額はその青色事業専従者の業務の実態(勤務時間や専門技能の有無、等)に見合ったものでなければ認められません。
実際、個人事業主の税務調査では、必ずと言っていいほど青色事業専従者給与について確認されます。
青色事業専従者になれない人
たとえば、次のような人は青色事業専従者にはなれません。
①高校生、大学生、専門学校生、等の学生
(ただし、夜間学校に通う学生の場合には青色事業専従者になれる場合があります)
②他に職業を持っている人(ただし、他に職業を持っていたとしても、
アルバイト等で勤務日数や勤務時間が短い場合には青色事業専従者になれる場合があります)
③青色申告者の事業内容から見て、実質的に勤務が困難な人
(たとえば、病気で勤務が困難な場合や、勤務地に通勤するのが困難な程遠隔地に居住している場合、等)
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青色事業専従者給与は、実際、私が担当させていただいている多くの個人事業主様も、
青色申告のメリットを享受できるケースが多く、
初期の段階で必ずご提案させていただく節税ポイントとなっております。
お忙しい個人事業主様にとって、こういった申告まで網羅して経営を行うことは不可能に近いと思います。
青色申告だけではなく、知っていればもっと経営のスリム化につながるポイントはいくつもあります。
そういった専門的アドバイスをするために税理士はおります。
このブログをご覧になって、
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