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貼り忘れ防止!請負の契約書に貼付する印紙について解説

2016年9月1日

印紙とは

印紙とは、印紙税法という法律で定められている税金を納付するために、
領収書や契約書等の書類に貼付する切手のような紙のことです。

例えば、領収書です。

領収書の場合、5万円以上の金額が記載されていれば
印紙を貼らなければいけません。

領収書の金額によって、添付すべき印紙の金額は
以下のようになっています。

5万円未満:非課税
100万円以下:200円
100万円~200万円:400円
200万円~300万円:600円
300万円~500万円:1千円
500万円~1千万円:2千円
1千万円~2千万円:4千円
2千万円~3千万円:6千円
3千万円~5千万円:1万円
5千万円~1億円:2万円
1億円~2億円:4万円
2億円~3億円:6万円
3億円~5億円:10万円
5億円~10億円:15万円
10億円を超えるもの:20万円
受取金額の記載のないもの:200円

この印紙税は、領収書だけではなく、
請負契約書や不動産の売買契約書、
金銭の貸借契約書、等にも貼らなければいけません。

印紙税法では、印紙を貼るべき書類として20種類の書類を定めています。

したがって、この20種類の書類には必ず印紙を貼らなければなりませんが、
逆に言うと、この20種類の書類以外は印紙を貼らなくて良いということになります。

請負契約と委任契約

ここで問題になるのは、そもそも作成した書類がこの20種類の書類に該当するか否かです。

例えば、請負契約の契約書には印紙を貼らなければなりませんが、
委任契約の契約書であれば印紙の貼付は不要となっています。

ここで簡単に「請負契約」と「委任契約」と書きましたが、
実務上でこの2つの契約を区別するのは非常に大変です。

というのも、この2つの契約の基本的な考え方は共に民法に規定されていますが、
民法の条文は日常生活の中で発生する様々な経済取引を抽象的に記載していますので、
細かな点までは規定されていないのです。

民法632条(請負)
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、
相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、
その効力を生ずる。

・民法643条(委任)
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、
相手方がこれを承諾することによって、
その効力を生ずる。

したがって、個々の契約書が「請負契約」と「委任契約」のどちらに該当するかは、
その契約書に記載されている内容をよく見て判断しなければいけません。

参考:請負の意義(国税庁HP)

請負契約書

「請負契約」と「委任契約」のうち印紙を貼らなければいけないのは「請負契約」の方になります。

ここで、上記の民法632条(請負)を確認してみると、
少なくとも2つのことを読み取ることができます。

1つ目は、「仕事を完成することを約し」と規定されていることから、
何らかの仕事を完成させるような契約であるということ。

2つ目は、「仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する」と規定されていることから、
相手方が完成した仕事に対して何らかの報酬を支払う契約であるということ。

一方、民法643(委任)条には、仕事の完成やその仕事に対する報酬を支払うことは規定されていません。

例えば、我々税理士の顧問契約書にも、基本的には印紙の貼付は必要ないとされています。

何故でしょうか。

我々税理士も、何らかの仕事の依頼を受けて顧問先の皆様から報酬を受け取っているはずです。

答えは、我々税理士の仕事は「仕事を完成することを約し」に当たらないからです。

この「仕事を完成することを約し」というのは、
例えば建築請負や車の修理、機械の保守点検、等のように、
納品する物品や提供するサービスがあらかじめ定められていて、
それを完成するという意味なのです。

一方、我々税理士の顧問契約は、
顧問先様の税務相談や決算書の作成、税務申告等を行うわけですが、
これは予め作業内容が細かく決められているわけではなく、
決められた納品物があるわけでもありません。

基本的には、税理士個人々人の知識や経験等をもとに作業を行うことになります。

(※もちろん各種税法等の法律に基づいての作業なるのは言うまでもありません。)

したがって、民法643条の「委任契約」に当たるということになります。

同様の考え方から、コンサルタント契約も「委任契約」になることが多いと考えられます。

しかし、税理士やコンサルタントとの契約でも、
例えば
「○○期分の決算書の作成に対して報酬を支払う」や
「○○月分の試算表の作成に対して報酬を支払う」、
「○○の調査についての、調査報告書作成に対して報酬を支払う」
というような記載があれば、

これは「請負契約」となり、印紙の貼付が必要になります。

請負契約書に貼付する印紙

上のように契約書の内容をよく確認した結果、
「請負契約」に当たるとなった場合には印紙の貼付が必要になります。

この場合の印紙税の税額は以下の通りになります。

1万円未満:非課税
1万円~200万円:200円
200万円~300万円:500円
300万円~500万円:1千円
500万円~1000万円:5千円
1,000万円~5,000万円:1万円
5,000万円~1億円:3万円
1億円~5億円:6万円
5億円~10億円:16万円
10億円~50億円:32万円
50億円を超えるもの 48万円
(契約金額の記載のないもの) 200円

皆様も、契約書への印紙の貼付漏れの無いように
しっかりと契約書の内容をご確認ください。

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