経営者の役員報酬と税金の関係
開業したて、法人設立当初は、役員報酬金額も毎月数十万円くらいの会社が多いと思います。
しかし、会社の事業が軌道に乗って業績が上向いてくると、
役員報酬金額を増額し、月額100万円以上の役員報酬を支払う会社もでてきます。
役員報酬は、法人税法の要件を満たせば、会社の経費に計上することが可能です。
役員報酬金額を増額すると会社の経費が増加します。
経費が増えれば、課税対象となる利益(売上)も減ります。
その結果として、会社の節税につながるのです。
一方で、役員報酬を受け取った会社の経営者やその他の役員は、
所得税や住民税、社会保険料、等の税金や保険料の負担が大きくなります。
役員報酬金額が増加したので、所得税や住民税、社会保険料等の
負担が増加することは止むを得ないのですが、
できる範囲で節税を図ることができるのです。
報酬増で検討すべき節税対策
役員個人の所得税や住民税を軽減することができるのは、
以下に記載するような制度に加入した場合です。
1.小規模企業共済(実施主体:中小企業基盤整備機構)
対象者:中小企業の会社経営者の方や個人事業主の方
掛金額:(最大)月7万円×12月=年84万円
※月額1,000円~70,000円の範囲内で加入者が任意に設定可能。
2.確定拠出個人年金(実施主体:国民年金基金連合会)
対象者:会社経営者の方や個人事業主の方、
および会社員や公務員の方、専業主婦の方、等ほとんど全ての方。
掛金額:(最大)月6.8万円×12月=年81.6万円
※月額5,000円~68,000円の範囲内で加入者が任意に設定可能。
どうして節税になるの?節税のしくみ
上記の小規模企業共済や確定拠出個人年金の掛金は、全額が所得税や住民税の所得控除となります。
たとえば両制度に同時に加入して掛金を満額支払った場合、
約165万円の所得控除を受けることが可能になります。
この制度に加入した役員の方の課税所得が1,000万円だった場合、
税率は約43%(所得税率33%+住民税率10%)となりますので、
「165万円×43%=約70万円」の減税効果となります。
これに20~30年間加入した場合の減税効果はかなりの金額になってきますね!
節税対策のポイントは役員報酬改定時にあり
また、社会保険の保険料にも節税ポイントは隠れています。
社会保険の保険料は等級により区分され、金額が決まってきます。
役員報酬金額改定の際、社会保険料額表を参考に、ある等級の上限付近に役員報酬金額を設定し、
等級が上がらないよう配慮することで、社会保険料が上がらずに済む場合があるのです。
(参考:法令労務協会「社会保険:健康保険・厚生年金保険保険料額表」)
高額役員報酬には基本の節税対策を!
会社設立から、苦労して事業を軌道に乗せ、役員報酬を上げられるまでになる…。
経営者として、本当に喜ばしいことだと思います。
経営者様から、節税対策を質問されることも多く、中には熱心に節税対策セミナーに行かれる方もいらっしゃいます。
しかし、まずは、節税の基本中の基本、役員報酬を高額に設定するタイミングで、ぜひ節税を意識していただきたいです。
屋税理士事務所では、まずは、この基本中の基本の節税対策をアドバイスさせていただいております。
基本と言えど、知らない経営者様も多いのが事実です。
会社の節税と同時に、経営者やその他の役員の節税も全体的に考えないと非常にもったいないです。
屋税理士事務所では、東京税理士会を通して、
「小規模企業共済」への加入代行業務を行っております。
「小規模企業共済」への加入をご検討の方、
真っ当な節税対策をご希望の方は、新宿の屋税理士事務所まで是非ご連絡ください。
経営状態全体から見て、今後に繋がるようなアドバイスができればと思います。