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情報としての決算書
あふれる情報から必要なものを選択する
昔から「情報を制するものは世界を制す」と言われます。
現在日本では、ほとんどの家庭にインターネットが普及し、
様々な情報を取得することが容易になりました。
また、携帯電話も一人一台の時代になり、
携帯電話やスマホからインターネットを使用することが可能となりました。
※日本のインターネット普及率82.8%(平成25年度末)
※日本の携帯電話普及率101.7%(平成25年度末)
今や世の中は情報であふれています。
現代に生きる私たちは、このあふれかえった情報の中から必要なものを抜き出し、
その情報に自分なりの判断を加えて行動していかなければなりません。
たとえば、ファッションに興味がある人がいたとします。
しかし、いくらファッションに興味があるとはいえ全てのファッション雑誌をチェックすることはできませんので、自分でいくつか購入する雑誌を選びます(情報の取捨)。
購入したファッション雑誌に載っている洋服の中から、
自分に似合いそうなものを見つけて(判断し)購入するという行動に移るわけです。
会社経営における情報の取捨選択
このような情報の利用方法は会社経営においても同様で、
たくさんの情報の中から自分に必要な情報を抜き出し、
そこに自分なりの判断を加えて会社の経営に生かしていかなければなりません。
もちろん、必要な情報か否かは人によって異なるため、
一律に有用な情報とそれ以外の情報を分けることはできません。
しかし、現代社会においては、この情報の見極めが非常に重要となってきます。
会社経営に有用な情報は様々なものがあり、
必要となる情報も千差万別です。
しかし、唯一これだけは、どの会社でも有用だと言い切れる情報があります。
それは、「決算書」です。
決算書とは?
決算書は、数字という世界共通の言語によって、
その会社の財務状況や業績を表しています。
この決算書の中には、売上高や仕入高はもちろん、
社員の給料や事務所の家賃、借入金や手形の残高、保有する備品(固定資産)の残高、等の情報が満載です。
これら決算書の情報は、利用しようという気が無ければただの数字の羅列です。
しかし、決算書の情報を利用しようと考えている人たちにとっては宝の山です。
決算書の情報は、株式市場で株式を売買するための大きな判断材料となりますし、
経営者にとっては今後の経営計画に無くてはならない情報です。
また、金融機関にとっても、決算書の情報は融資を実行するか否かの判断を下す重要な情報です。
このように、決算書の情報は利用しようと考えている人たちにとっては非常に重要なものなのですが、
経営者の中には、この決算書の見方が解らないという方が多くいらっしゃいます。
そこで今回は、この決算書の中でも重要な損益計算書の見方を簡単に説明したいと思います。
決算書の見方
損益計算書
![損益計算書](http://okutax.com/wpmain2017/wp-content/uploads/2015/03/59912f5257c6a8115b268612205921e4.png)
「売上高」と「当期純利益」
上記のような決算書を例にすると、
決算書の「A.売上高10,000」は会社の規模を表します。
つまり年商がいくらの規模の会社なのかということです。
「M.当期純利益300」も、決算書の中で一番下に表示されるため目につきやすいです。
また、銀行や株主が最も重視するのもこの「M.当期純利益300」です。
よくニュース等で、上場企業の最終利益が過去最高になりましたなどと言っているのは、
この「M.当期純利益300」のことになります。
決算書の見方という点から言いますと、
最近の傾向として、「A.売上高」よりも「M.当期純利益」を重視する傾向にあります。
私も顧問先の決算書を確認する場合には、
最初に「A.売上高」を確認するものの、
やはり「M.当期純利益」を最も重視しています。
「営業利益」と「経常利益」
決算書を見るうえで次に見るべき点としては、
「E.営業利益1,000」と「H.経常利益900」があります。
この二つの利益は、本業でどれだけの利益が出ているかを示すものです。
つまり、株や固定資産の売買等、
本業とは関係の無い「I.特別利益500」や「J.特別損失1,000」を加味する前の段階の利益です。
逆に「E.営業利益1,000」と「H.経常利益900」が赤字ということは、
利益を出すべき本業で赤字を出している状況を示しています。
したがって、この段階ではなるべく黒字を確保しておきたいものです。
「販売費及び一般管理費」
次に、決算書上の「D.販売費及び一般管理費3,000」と記載されている部分です。
この「D.販売費及び一般管理費」の中には、
人件費や家賃、交際費、交通費、通信費、外注費、広告宣伝費、その他、仕入以外の重要な経費が入っています。
したがって、決算書には「D.販売費及び一般管理費」の内訳書が必ず入っています。
この内訳書を必ず確認し、
自分の会社の無駄な経費をチェックして経費の削減に役立ててください。
「営業外収益」「営業外費用」「特別利益」「特別損失」
最後に、決算書上の「F.営業外収益100」「G.営業外費用200」「I.特別利益500」「J.特別損失1,000」については、
金額がそんなに大きくないか、
または、稀に大きい金額が計上されたとしても一過性のものですので、
さほど気にする必要はありません。
決算書の見方は利用する立場によって様々ですが、
経営者や経理担当者が決算書を確認する場合には、
上記のような点に注意して決算書を確認してみましょう。