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法人税

収益構造を確認!一般社団法人・一般財団法人の税金についてやさしく解説

2015年11月10日

一般社団法人・一般財団法人とは

社団法人・財団法人の分類

法人税法上、3つに分類

私の事務所でも一般社団法人・一般財団法人の税金について
相談に来られる方が結構いらっしゃいます。

実際、弊所でも一般社団法人・一般財団法人を数社、税務顧問として担当させていただいております。

一般社団法人・一般財団法人は
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により規定されている法人です。

一般社団法人・一般財団法人の会計処理や税金の計算方法は、
他の一般的な株式会社等とは異なっている部分があります。

社団法人・財団法人は法人税法上3つに分類されます。

一般社団法人の種類

公益社団法人・公益財団法人

一般社団法人・一般財団法人のうち、主たる目的が公益目的事業である法人が、
「公益社団法人・公益財団法人の認定に関する法律」に基づき
行政長(内閣総理大臣または都道府県知事)に申請し、
公益認定を受けた法人だけが公益社団法人・公益財団法人になることができます。

公益社団法人・公益財団法人は、法人税法上の「公益法人等」になりますので、
公益目的事業については法人税は課税されません。

一方で、この公益認定を受けた公益社団法人・公益財団法人も公益事業とは別に、
収益事業を行うことが可能ですので、この収益事業の部分だけが法人税の課税対象
になります。

非営利型の一般社団法人・一般財団法人

「公益社団法人・公益財団法人の認定に関する法律」で
公益認定を受けていない一般社団法人・一般財団法人であっても、
後述する非営利型法人の要件に該当する法人は、
法人税法上の「公益法人等」として営む事業のうち収益事業についてのみ
法人税の課税対象になり、非収益事業に対しては課税されません。

非営利型法人の要件

非営利型以外の一般社団法人・一般財団法人

「公益社団法人・公益財団法人の認定に関する法律」で公益認定されていない一般社団法人・一般財団法人のうち、上記2(非営利型の一般社団法人・一般財団法人)以外の法人になります。

この分類に属する一般社団法人・一般財団法人は、
法人税法上の「普通法人」に該当することになりますので、
営むすべての事業に対して法人税が課税されます。

一般社団法人・一般財団法人と会計

会計基準の選択

一般社団法人・一般財団法人は、公益事業や共益事業等の非収益事業を行いつつ、
一部営利を目的とした収益事業も行っている場合があります。

このように、非収益事業と収益事業の両方を営む場合、
どのような会計基準を採用すれば良いでしょうか。

採用され得る会計基準としては「公益法人会計基準」
または「企業会計基準」の2つが考えられます。

会計を勉強したことがある人なら「企業会計基準」という言葉はご存知だと思います。

一方、「公益法人会計基準」は公益法人特有の会計基準ですので
ご存知の方は少ないと思います。

耳慣れない「公益法人会計基準」とは?

「公益法人会計基準」を簡単に説明すると、
寄付金や国・地方公共団体からの助成金等で使途を指定されているものについて、
指定された使途ごとに分類して会計処理を行う会計基準です。

「公益法人会計基準」は、公益社団法人・公益財団法人はもちろん、
一般社団法人・一般財団法人でも採用可能な会計基準です。

「企業会計基準」か「公益法人会計基準」か、
主に非収益事業を営んでいる一般社団法人・一般財団法人で、
寄付金や国・地方公共団体からの助成金等が主な収入源になっている場合には、
「公益法人会計基準」で会計処理を行うべきです。

一方、一般社団法人・一般財団法人であっても
収益事業だけを営んでいる場合や、非収益事業を営んでいる場合でも、
収入に占める寄付金や国・地方公共団体からの助成金等の割合が少ない場合には
「企業会計基準」で会計処理を行ったほうが良いです。

「企業会計基準」で会計処理を行う場合には、市販の会計ソフトでも対応可能です。

しかし、「公益法人会計基準」で会計処理を行う場合には
市販の会計ソフトで対応することができません。

この場合には、別途「公益法人会計基準」に対応した専用ソフトを購入しなければなりません。

一般社団法人・一般財団法人と税務

非営利型以外の一般社団法人・一般財団法人

一般社団法人・一般財団法人といっても、非営利型の法人と
それ以外の法人があるということは前述しました。

このうち、非営利型以外の一般社団法人・一般財団法人については、
法人税法上「普通法人」に該当することになりますので、
全ての事業について税務申告を行い税金を納税することになります。

また、消費税についてもその他の株式会社と同様の方法で
申告を行うことになります。

非営利型の一般社団法人・一般財団法人

一方、非営利型の一般社団法人・一般財団法人については、
営む事業のうち収益事業についてのみ税務申告を行い税金を納税することになります。

非収益事業については税務申告の必要はありません。

また、消費税については、株式会社等とは異なる
計算方法で納税額を計算することになります。

これは、一般社団法人・一般財団法人の収入に占める
特定収入(会員の年会費、寄付金、国・地方公共団体からの助成金、等)の
割合が5%以上の場合に、これらの対価性の無い収入によって賄われる課税仕入
の税額控除額を調整する必要があるためです。

この、消費税の「課税仕入の税額控除額を調整」するための計算が
非常に複雑なため、消費税の申告は、一般社団法人・一般財団法人の税務申告の中でも
最も難しい部分になります。

税理士に相談した方が間違いなく、効率的かもしれません。

弊所でもご相談受け付けております。「お問い合わせフォーム」

まとめ

一般社団法人・一般財団法人の税金については、
収益の構造により、税務が異なるのが混乱しやすい点です。

私の担当させていただいている法人様からも、
たびたびご質問いただきます。

わかりやすく解説したつもりですが、いかがでしたでしょうか。

ご質問等ありましたら、「お問い合わせフォーム」からお気軽にどうぞ。

どういった点で、皆様がお困りなのか知るにもよい機会ですので、
お気軽にご相談いただければと思っております。

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